先日テレビを見ていた時のこと。
なんとなーく聴いたことのあるBGMが流れていたので脳内検索をかけたところ見事ヒット。
「あ、これ、『やっぱり猫が好き』の「かやの、怒る」回でかやの姉ちゃんが同窓会で着ていこうと思っていた着物をレイコが勝手に持って行っちゃってかやの姉ちゃんがブチ切れるときの音楽だ。」
『やっぱり猫が好き』とは
『やっぱり猫が好き』(やっぱりねこがすき)は、1988年(昭和63年)10月11日から1991年(平成3年)9月21日まで、フジテレビ系列で放送されていた日本のコメディドラマである。
引用:wikipedia
猫はあんまり出てこない(2,3回に1回くらいの頻度で”さちこ”という猫がちょろっと出てくる。) 基本的には恩田かや乃、レイ子、きみえの三姉妹がマンションの1室でドタバタするだけの、それだけのはなし。だがこの3人の掛け合いがめちゃくちゃ面白い。
三谷幸喜が脚本を担当した回もあり、面白さは折り紙付きといったところ。
『やっぱり猫が好き』がほかのドラマと違う最大の点は何といってもアドリブの多さではないだろうか。3人の自然体すぎる掛け合い、アドリブだからこそ生まれる笑い、自由な展開はまったく予想できない。迷言も多すぎるくらいだ。
また、時代が時代だけに、そこはかとない昭和感を感じることが多々あるが、そこがいい味を出しているドラマだ。
ちなみに私は平成生まれなのだが、小さいころに母がレンタルしてきたこのドラマを一緒に見ていてドはまりした。今はDVDBOXで見ている。
登場人物
恩田かや乃(もたいまさこ)
当時30代後半。若い。
でも最近のもたいまさこさん(ドラマ・カルテットで出演していらっしゃいました)を見てもそんなに変わらない気がしてしまうのもまたすごい。
ディズニーランドをデズニーランドと発音する。好き。
3姉妹の中では母親的存在。普段はふわふわした感じだが、たまにものすごい勢いで壊れる。
自動車教習所に通ったこともあるが、教官が高圧的で気にくわなかったため、ハンドルを引っこ抜いて帰ってきたもある。
恩田レイ子(室井滋)
当時20代後半くらい。たぶん。
トラブルメーカー。金に汚い。だがそこがいい。
夜中の3時に焼き肉を始めたり、お隣の旦那さんに「鼻にも餅を突っ込んで鼻息で出す」という芸を教えた結果旦那さんが死んだり、とにかくアグレッシブというか…。
ゴーストキャッスル堂というアパート住だが、しょっちゅう かや乃ときみえのマンションに遊びに来る。というか毎日来る。
かや乃ときみえの二人から邪険に扱われることが多々ある。
自称女優だが仕事はあんまりない。
恩田きみえ(小林聡美)
末っ子。当時20代前半。
真面目ではつらつとした感じ。でも末っ子らしさがある。
酒に酔うとなんでも拾って持ってきてしまう癖があったり、寝言がすさまじかったり、かや乃、レイ子に負けない個性も持っている。
物まねが好きでちょっちゅう披露してくれる。
登場人物は基本この3人。女優さんの名前を見てわかる通り、みなさん個性的な方ばかり。だからこそこのドラマが成り立つんだろう。
小林聡美さんともたいまさこさんは映画でも共演することが多い印象がある。
とくにお二人が主演の『かもめ食堂』『めがね』は私も大好きな映画だ。
室井滋さんはテレビ出演等で大活躍されている。
このへんのかや乃姉ちゃんときみえの仲の良さ、レイ子が一人で奮闘する様子なんかは『やっぱり猫が好き』とダブって見えてしまう。
『やっぱり猫が好き』を見る方法
現在まともに『やっぱり猫が好き』を見ようとするとレンタルか円盤を買うしかない。
本当に残念…。ぜひともネットで配信してもらいたいものだ。
このご時世、レンタルってだけで少し敷居が高い気がしますからね。
『やっぱり猫が好き』 厳選5話
毎回面白さが違う『やっぱり猫が好き』の中でとくに好きな回を5つ選んでみました。
かなり悩みましたが、ひとまずこれは外せないというものを挙げたので、興味のある方は是非一度ご覧いただければと思います。
タイトル右の vol.〇 はDVDBOXにおける収録DVDのナンバーです。
No.1
ギョーザがいっぱい vol.7収録
いつも安い餃子の皮が輪をかけて安かった!と嬉しそうなかや乃。餃子の皮の賞味期限が間近に迫っているため、三姉妹は大量の餃子を作る。
焼き餃子、水餃子、揚げ餃子…食べても食べてもなくならない餃子を少しでも消費するため、様々な策を打つことに。
餃子をケーキの箱に入れてお隣さん渡すも、お礼としてもらった一段重の中にはなぜか餃子がたっぷりと詰められていた…。
そう、今夜この町は餃子で溢れているのだ!
レイ子「餃子のマシュマロマンが!ビルの谷間を!歩いていくのよ!!誰も信用しちゃだめなのよっ!!」
かや乃「…こわい〜!」
No.2
かや乃怒る vol.14収録
レイ子が黙って持ち出した着物は、かや乃が同窓会に着て行くはずのものだった。結局同窓会に参加できなかったかや乃はマンションの一室で激怒していた。
きみえがかや乃にバレないようベランダへ行くと、そこには大荷物を持ったレイ子の姿が。
レイ子「すまん!!」
なんとレイ子は持ち出した着物を質に入れていた…。
レイ子を匿いながら、なんとか許してもらえるようかや乃を説得するきみえだがかや乃を苛立たせてしまう。
きみえが必死でなだめるとかや乃も徐々に落ち着き、習字で気を鎮めようとする。
かや乃「……。(『縁を断』と書く)」
きみえ「力がみなぎってるねえ」
その後も『この野郎』『死ね』などの書を書き連ねるかや乃であった。
No.3
留守番電話ルンルン vol.10収録
お土産をもって帰宅したきみえ。中身はなんと留守番電話だった(当時は留守番電話が普及し始めた頃のようです)
思い思いのメッセージを収録しようとはしゃぐ三姉妹。公衆電話から留守電メッセージの出来を確認しようとするが…。
時代を感じる回。最初のさりげない会話がオチに繋がっているところが地味にお気に入り。しつこく留守電を入れてくる「スーハ―おじさん」とのバトルが笑える。
きみえ「ようこそ ここへ クッククック♪ こんにちは〜恩田です。ただいま留守にしております。ピーっという発信音の後に、メッセージをどうぞっていってんのよっ!」
No.4
はまぐりぺぺちゃん vol.7収録
きみえがブラジルからやってきた「しゃべるはまぐりのペペちゃん」を連れてきた。すかさず食いつくレイ子。きみえも嫌々ながら、少しだけなら…とぺぺちゃんを飼育箱の中から出すことを許可する。そこへ大喜びで帰ってくるかや乃。手にはボウルいっぱいのはまぐりが!勢いあまってテーブルの上にはまぐりを散乱させてしまい、ぺぺちゃんも混じってしまう。
無口なしゃべるはまぐりのぺぺちゃんを探し出すため、三姉妹は様々な方法を試す。
レイ子「ビバ ブラジール!…ハッ!」
ブラジルといえばコーヒー、ブラジルといえばサンバ…。とにかくペペちゃんを見つけ出すため奮闘する三姉妹がとにかく面白い。生きたハマグリをつかっているためか、中身がにょろっと出た際に「ぎゃあ!」っと叫ぶシーンも。これもアドリブが多い『やっぱり猫が好き』ならではの反応だ。また、オチも秀逸。
No.5
きみえのアルバイトと豆腐実験 vol.18収録
実験キットの訪問販売アルバイトをするというきみえ。かや乃、レイ子を相手に練習したいというが、レイ子が無駄に凝った設定を作ったり、妙な演技をしたりするせいでまったく練習が進まない。
ようやくまともに客役をやり始めるレイ子とかや乃。しかし実験キットの内容はいまいち。二人はきみえに「なにか興奮するような実験をやって」とせがむ。
きみえ「大豆のたんぱく質を使って、豆腐をつくってみよー!!」
かや乃&レイ子「888888888(拍手)」
アルコールランプとビーカーを使ってお湯を沸かし、まさに理科の実験気分。実験キットの付属本どおりに豆腐作りを進めるのだが…。
実験を中心に三姉妹がしゃべるしゃべる。にがりを舐めたレイ子の反応がツボ。『やっぱり猫が好き』ならではの自由すぎるラストは笑わざるを得ない。
番外編
個人的に気に入っている回を二つ紹介。
やっぱり逸見と猫が好きスペシャル vol.15収録
年末の大掃除をする三姉妹の話。その年に放送した回を一気に振り返る。
各回のハイライト的な場面をつまみぐいできるため、気になったシーンを後で見直すといったインデックス的な使い方もできてしまう優れ回。
ちなみにこの次の回はなんと年跨ぎスペシャル。しかも生放送。年の最後を『やっぱり猫が好き』の生放送で締めるフジテレビ…すごすぎる。それだけ当時人気の番組だったということだろうか。
焼肉パーティー vol.18収録
夜中の3時。そこには暗い部屋で一人焼肉をする女…レイ子の姿が…。
煙で起こされたかや乃ときみえが非常識なレイ子を怒る。
レイ子「ほら…ミッドナイトランチっていうの?」
特にきみえは友達の結婚式に着ていこうと思っていたスーツににおいがついたと激怒。レイ子とのケンカに発展してしまう。
腹の虫が収まらないレイ子ときみえは焼肉を続行する。かや乃も付き合う羽目に。
夜中に焼肉をするという飯テロ回。レイ子の肉の食べ方がこれまたおいしそう…。七輪で焼く肉なんて現代のご家庭ではほぼ絶滅してしまっているのではないだろうか。
きみえとレイ子の姉妹喧嘩のしょうもなさが妙な笑いを誘う。
後半は三姉妹がそろって焼肉をするだけなのだが、かや乃が「レイ子は政治家に向いてる」と言ってみたり、「夜中に焼肉をしてその翌日に朝ごはんを食べると気持ちいい」というめちゃくちゃな話をしていたり、なんともない会話のはずなのになんだかヘンなのが三姉妹らしい。
改めて『やっぱり猫が好き』を見て思う
無性にこのドラマを見たくなることがある。
今回この記事を書こうと思ったのも、久しぶりに見た『やっぱり猫が好き』が面白かったからだ。
少し落ち込んでいたのに、三姉妹がわーわーしてるのを見ると自然と笑ってしまう。
放送からすでに30年以上経過したドラマではあるけれど、やっぱりいい作品はずっといいままだ。