ドラマ『パンとスープとネコ日和』に次のようなシーンがある。
アキコが二度訪ねたお寺の住職さんがアキコのお店にやってくる。
急な来店に驚くアキコ。
住職はサンドウィッチとスープのセットを美味しそうに食べる。
お客さんが一通り去ったあと、住職とアキコは話し始める。
「よくここがわかりましたね。」
「案外、簡単に探し出せました。」
住職(加瀬亮)がアキコ(小林聡美)のお店に初めてやってくるシーン。
これシーン以前に、アキコが住職のお寺に行っており、庭を見ながらのんびりお茶をした仲になっている。
アキコの性格や、住職の来店に驚いたことから、住職にはお店の場所は話していなかったのではないかと考えられる。ショップカード的なもの(フライヤーっていうんでしたっけ?)なんて作ってすらいないだろう。
このシーンを見たときに(これは見たことがあるぞ〜!)と嬉しくなった。
映画『めがね』にて、よもぎ(加瀬亮)が宿ハマダにやってくるシーンだ。
「よくここがわかったね〜!」
「探しました。」
よもぎはタエコのことを「先生」と呼ぶが、その関係は作中でとくに語られない。
タエコはよもぎと一緒に海を眺めたり かき氷を食べたりしていることから、良好な関係であることは覗える。
アキコと住職、タエコとよもぎ、二人が出会うことは実に自然なことのように感じられる。
空がいつも青いのと同じように
日が傾けば西の空が赤く染まるように
いつもそこにあるけど、その美しさが褪せないように
住職・よもぎがアキコ・タエコ探して見つけ出せるのはとても自然で、そうあるべきで、そういう関係なんだと思わせるような感じがする。
現実にはありえないけど、不思議と出会えて不思議と心が通じ合う仲…なんだか素敵だ。
愛でなければ友情でもないけど、どこか同じ空気を持っていて、心地よい距離感のある人たち。
そういう人が欲しいわけじゃないけど、見ててただ心地良い。