昨日はやる気が出なかったのでひたすら読書をしていた。
間もなく終わりそうだった『福も来た パンとスープとネコ日和』を読み終えると、続編の『~優しい言葉』の方も、途中流し読みになりつつ一気に読んだ。
『福も来た』&『優しい言葉』
ちょっとだけ内容に触れつつ感想を書く。
第一弾『パンとスープとネコ日和』に関してはこちら↓
『福も来た』の方は量の割に時間をかけて読んだ気がする。
こちらは『パンとスープとネコ日和』第二弾ということで、主人公アキコがたろちゃんを亡くしてまだ完璧に立ち直っていない様子から始まる。
第二弾から向かいの喫茶店のママがアキコのことを心から心配してくているのが分かり、ママの話も結構でてくる。ドラマ版でもたいまさこさんがママ役だったのも、ママがアキコを見守り、ときにアキコを優しく暖めてくれる存在だからだと勝手に納得した。
ママのお家に遊びに行く場面、一緒に食事をする場面は『福も来た』では一番好きかも。
あとはアキコが新しいスープを考えて、カボチャのスープを出す場面。こっくり優しい味がするんだろうなぁ、とか、良いオレンジ色をしているんだろうなぁ、とかひたすら美味しいイメージが湧いてくる。
第二弾の終わりではたろに良く似た兄弟猫、たいちゃんとろんちゃんがやってくる。第三弾『優しい言葉』でもそうなのだが、タイトル回収は最後の最後に行われるようだ。
続いて第三弾『優しい言葉』。
読者から見て、ちょっと嫌なイメージの人が亡くなる。でもアキコは優しい。私は人並みに心から汚いので、高校時代にアキコに嫌味を言いまくっていた子が亡くなったという場面では「いい気味じゃん!」と感じてしまった。アキコさんごめんなさい
アキコは自分の周りの人たちをも客観的に見ている感じがする。
お店のことを悩んだり、お客さんのことを考えたり、人間的な優しさはあるし、不安や悲しみを持っている。
でも、怒りという感情はアキコからはほとんど感じられない。猫にひどいことをした人に対しては怒っているようだったが、アキコ自身に関係することにお節介を焼いたり、平然と失礼なことを言ってくる人に対してあまりにも怒らないのだ。
少し感情がなさすぎると感じられるかもしれないが、そこで上手く作用するのがしまちゃんの存在だ。
しまちゃんはアキコに対して失礼な人にはきちんと怒ってくれる。これがいい。
アキコはしまちゃんに支えられて生きている。
アキコが人に怒りを感じない分、ほかの人がきちんと怒ってくれる。
第三段まで読むと、だんだん「しまちゃん出来杉くんじゃん……」と思えるほどしまちゃんの有能さが浮き彫りになるのだが、第二弾の終わりから登場している、シオちゃんというしまちゃんの男友達の存在がしまちゃんの人間らしさを読者に教えてくれる。これには少し安心した。
どう見てもしまちゃんは出来過ぎていたのだが、それはアキコのお店の店員さんとして、女性同士としての しまちゃん。友達といるときのしまちゃんはまさに体育会系!シオちゃんには厳しい しまちゃんなのであった。
しまちゃんはシオちゃんのことを「奴」と呼び、本人に対しては「お前」と言う。ここは読者としてはびっくりポイントだ。でもちゃんと、体育会系してるって感じ。しまちゃんの人間らしい一面。良い。
しまちゃんはあるお客さんとの出会いから、シオちゃんのことを優しく呼ぶようになった。これがしまちゃんとシオちゃんにとって大きなターニングポイントになる。
小さなことでも人の心に作用することもあるのだ。
次は同じく群ようこさんの『れんげ荘』を読みます。