この間、夜、外を歩いていた時のこと。
空を見上げると見事なオリオン座が鎮座していた。
冬の星空はとてもきれいだ。
晴れていて雲がない空はものすごく澄んでいて、星の光を邪魔するものがひとつもない。
星の小さな冷たい光が点々と瞬くだけの空。
冬の星座は結構面白い。
形もそうだし、明るい星が多いからすぐに星座が見つかる。
それに星雲や星団もすぐ目星が付くほど明るく見える。
オリオン座の三つ並んだ星の帯のすぐ下に星雲がある。
ちゃんと観測したことはないけど、明るくもやもやしたものが見えるから、すぐにわかる。
それからおうし座のプレアデス星団。これはオリオン座を眺めているとその右側あたりに変に明るい場所があるから、知っていれば見つけられる。
小・中学生のころ、星が好きでよく星座早見表をもって外に出た。
初めて見た星座はオリオン座。
理科の教科書で見て想像してたよりもとても大きかった。
あんなに大きいものが空に張り付いているとは思っていなかったからびっくりした。
それから星の一つ一つに名前がついていることにハマった。
1等星、2等星はもちろん、現代人の肉眼では見えないような星にも名前がついているのが面白かった。
当時は星座を見つけるのが楽しくて、見ればすぐに何の星座かわかるほど見た。
でもそのうち不安になってきた。
もしかしたら自分は、普通に星空を見ても前みたいに無邪気に楽しめないのではないか。
そんなことが不安になった。
明るい星がいくつかあればそれで大体なんの星座かわかってしまう。
空をみる楽しみといえば、星がきれいに見えるかどうかだけ。
それでいいのか。
早見表を見るのと何が違うのか。
しょっちゅう見ると変わり映えしない空の風景に目新しさを失う。
あの星はもう見た。あの星座は見えないけど、大体この辺にある。あの形は…
大人になってじっくり星を見る機会がなくなった。
でも夜空を見る。
月がきれいだと嬉しい。
惑星が豆電球みたいに揺らぎなく光っているの見つけることもある。
そしてこの間、綺麗な冬の星空を見た。
ちょっぴり感動した。やっぱり綺麗だった。
昔の、しょっちゅう空を見ていた時とは違う、ちょっぴり新鮮で、でも懐かしい感じ。
星雲ってあんな風に見えてたんだ、とか、星団って結構存在感あるなって思った。
オリオン座は相変わらずだし、おおいぬ座のシリウスは変わりなくビカビカに光っていた。
綺麗すぎて、光りすぎて、かしましいくらいの冬の星空。
あの星たちはちっとも変わらず、きれいに光っていて、ちょっとだけ楽しかった。
冬の星たちは明るくて、みんな近くに寄って、おしゃべりしているみたいに見えるんだ。
そんな、季節ごとに個性的な星たちを見て楽しんでたんだっけ。