野暮用で寄ったホームセンターでフクシアの花を見つけた。
よく見かけるのとは違って元気よく愛想を振りまきながら咲いていたので、一瞬「あれ?」と思ったが、雰囲気が似ていたのでよく見てみるとやっぱりフクシアだった。 なんと表現したらいいか…田舎育ちでかわいい女の子が上京して垢抜けたものの、やっぱり昔のまんまの可愛さをもっているような、そんな感じだ。
初めてフクシアを見たのは数年前。道の駅で売っていた花をぼんやり眺めていた時だ。 花を見るのは好きだ。綺麗だし。見ているとなんとなく「いいなぁ」って思う。昔の人なら「いとをかし」を連呼しまくり歌を詠んでいたことだろう
いろんな花が堂々と並んでいる中で、ひと際かわいらしくてファンタジーの世界から出てきたかのような容姿でたたずんでいたのがフクシアだった。 コロコロかわいい飾りのような蕾をいくつもつけて、花は作り物のように可憐で妖精のような見た目をしていた。ちょっとした衝撃を受けた。こんな素敵な花が存在するんだ。
フクシアの花のイメージ写真。品種によって色や形は様々。フューシャとも。
フクシアに一目惚れして以来、一度だけ家でフクシアを育てたことがあった。 蕾がぷっくり膨らんでいていよいよ咲きそうなものを一鉢買って、自室で育てることに。蕾に亀裂が入るといよいよ咲く合図だ。何日か様子を見ていると、ポンポンと丸い蕾の中がいくつもついている中、花が二輪咲いた。
育てていたフクシア。『貴婦人の耳飾り』とも称されるように、二つの花がほぼ同時に咲いた。
日当たりが悪いのと育て方が下手くそだったのが合わさってかアブラムシのような虫が繁殖してしまい、駆除剤を吹きかけての抵抗も虚しくフクシアは枯れてしまった。 自分の育て方の問題で花を枯らしてしまったのが少し悲しくて、それ以来鉢植えの花は買わなくなった。
今でもフクシアの花を見ると嬉しくなるし、できれば近くにおいて育てたいと思うが、好きな花ほど枯れる様を見るのは悲しいものだ。まだしばらくは見るだけにしておこう。