てれひこ屋

日記&雑記帳。日常で感じたこと、好きなゲームのこと、いいと思った音楽のこと、自分のことを入れて煮詰めるための坩堝です。

映画『トイレット』鑑賞

かもめ食堂』『めがね』でお馴染みの荻上直子 監督の手がける映画『トイレット』インパクトの強すぎるタイトルの本作は邦画でありながら日本人キャストはもたいまさこのみさらに全編英語という異色すぎる作品だ。


トイレット

 

人物紹介

 

レイ

3人兄弟の次男。研究職でロボットオタク。神経質。『トイレット』は基本レイを中心に物語が進行する。

 

モーリー

長男。パニック障害を持ち4年間引きこもっている。実はピアニスト。

 

リサ

末っ子の妹。大学生で少し生意気な性格。いろいろあってエアギター選手権にでることにした。

 

ばーちゃん

もたいまさこ。三人兄弟のおばあちゃん。兄弟のママが亡くなる前に日本から呼び寄せた。英語が話せないため兄弟たちはコミュニケーションを取るのに苦労する。トイレから出ると必ず深いため息をつく。

 

センセー

猫。

 

アグニ

レイの同僚でありオタク仲間のインド人。オタクらしい嫌味もいうが根は優しい。博識。

 

 

あらすじ

レイ、モーリー、リサの3人は最愛のママを失う。残されたのは家と猫のセンセー(という名前)と日本から呼び寄せたばーちゃん。英語の話せないばーちゃんと兄弟、そして猫のセンセーの奇妙な共同生活が始まる。

 

 

 

以下 物語の内容に触れた感想

 

そんなにモロネタバレという感じではないので、気になる方はどうぞお読みください。

 

モーリーがピアノコンテスト本番で発作を起こしそうになったとき、ばーちゃんが最初で最後のセリフを言う。

「モーリー、クール」

その声を聞いたモーリーはなんとか気を落ち着かせてピアノを弾き始める。

 

この作品で唯一感動し、ちょっとだけ泣いてしまったシーンだ。

共同生活をしていく中で3兄妹もばーちゃんも少しずつ変化していく。

モーリーを中心にもう少し詳しい内容と感想を書いてみようと思う。

 

モーリーはママの形見の古いミシンをばーちゃんから教わる。大切な形見のミシンと頑張って買った総柄の布で作ったのは、スカートだった。

モーリーはパニック障害のため、ピアニストでありながらピアノを弾けない状態だったが、スカートを履くと自然とピアノを弾けるようになった。モーリーは少しずつ自信を取り戻し、ピアノのコンテストにでることを決める。

コンテスト本番で、モーリーは発作を起こしかけてしまう。モーリーがピンチのときに今まで一言も言葉を発さなかったばーちゃんがモーリーに声をかけるのだ。「モーリー、あんたは素敵だよ。大丈夫、やってごらんなさい」と。

 

 ばーちゃんは英語を話せない。それでも、モーリーやリサが一生懸命ばーちゃんにお願い事をすれば理解してくれる。レイが落ち込んで拗ねてしまったときにはそっと餃子を焼いてレイに差し出してくれる。いつもむすっとして何を考えているのかわからないばーちゃんは、3兄妹を近くで見守ってくれる存在なのだろう。

3兄妹も、感情の読めないばーちゃんに対して最初はどう仲よくしたらいいのかわからない様子だったが、言葉が通じないなりに一生懸命 話かけてみたり、一緒にテレビをみたり、なんとなく心を通じ合わせていくのだ。

3兄妹にはそれぞれ悩みや未熟な部分があり、ばーちゃんとの交流を経てそれぞれ大きく成長していく。『トイレット』という作品は3人の成長が一番の見どころなのだと感じた。

 

ラストシーンはなんとなーく予想できる結末なのだが、この映画を重くしすぎない最後で私は気に入っている。

 

 

『トイレット』で最も気に入ったキャラクターはなんといってもレイの同僚アグニだ。

彼は、ばーちゃんや兄妹と同居し始めたレイに対し「最近忙しそうだな、彼女でもできたのか?」と真顔で問い詰めたり、アグニの車をぶつけてしまったレイに対し「美女と3000ドルを要求する」と真顔で詰め寄ったり、嫌味な同僚なのかと思えば落ち込んでしまったレイにロボットのプラモデルを見せて励まそうとしたり、レイの質問に持ち前の知識で得意げに答えてみせたり、最初はちょっと嫌な奴だけど本当はレイに優しくしてくれるいいやつという絶妙なポジションなのだ。

 

 

おわりに

気に入った場面や人物に関してだらだら書いてきたが、『トイレット』という作品の魅力を語るのは本当に難しい。最初から最後まで緩やかな展開でありながらストーリーは割としっかりしているし、3兄妹それぞれが得たものはみんな違う。そしてばーちゃんの魅力を語るのも短い文章ではムリ!ということでほぼ省いた。

最初は「楽しめるかな~」と半分不安になりながら見始めたが、全然大丈夫でした。面白かったです。

 

 

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