ひどい一日だった。
朝、仕事に出かけるまでの微妙に慌ただしく憂鬱な時間。
着替える前にカーテンを閉める。
…なにか黒いものがカーテンに付着してい…
蜘蛛じゃん!!!!
うわーまじかよー
とドン引きしながらちょっと退避し様子を見る。
いつもと違う蜘蛛。いつも見る蜘蛛は足が細くてちょっと間抜けで、気持ち悪いけど愛嬌のあるひょろい蜘蛛。
なのに自室に現れたそいつはいかにも蜘蛛だ。歩くとカツカツいいそうな蜘蛛然とした蜘蛛。こわい。ぜったい噛むやつだ。
どうにかして部屋から追い出すべく、手ごろな段ボールに乗せようとする。
蜘蛛はそんな意図など知る由もない。逃げようと必死だ。
カーテンを下る蜘蛛。
一番下まで下がり、部屋の隅に駆け込む。
…うう…蜘蛛と同居なんて…。
と思いつつも、蜘蛛だって別に人間の目の前に出てきたかったわけではなかろう。何もかも見なかったことにした。
そうだ。蜘蛛なんていなかった。
アレもきっと反省している。この先一生私の目の前に現れることはない。
そう思って部屋を後にした。
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いざ出かけようとすると、家の敷地と道路の間際に『何か』が落ちていた。
軍手か布か…車から落ちた落とし物かな。
それにしてはなんか変に大きくて形がしっかりしているような…。
近づいてみてみる…と。
鳥の死骸だった。
うわーまじかよー…
ほったらかしにするわけにもいかない。車で踏んづけたら鳥も車もかわいそうだ。
とはいえ素手で触って移動させる勇気もない。とりあえず家に戻ってゴム手袋して戻ってこよう…。
ゴム手袋を装備してちりとりで鳥の死骸を回収した。スズメよりも2回りくらい大きいけど、カラスよりは小さい鳥。鳩くらいの大きさだけど鳩じゃない。
足がピンとしていて、落っこちたときに頭を打ったのだろう、頭のあたりにだけ血痕があった。頭の大きさほどの血痕だけが鳥の死骸の後に残った。
なんだか殺人現場みたいだな。と妙な感想が脳裏に浮かびながら、とりあえず土のある場所に鳥を移動させた。
本当は埋めてあげようかとも思ったが、スコップとかなかったし、アリとかの虫がいっぱい歩いていたのでとりあえず置くだけにしておいた。
その後仕事へ。出かけようと思ったら今度はセミの死骸を見つけてしまい、踏んづけないように気を付けた。
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帰路。もうおうちの前。
なんとなく、そういえばあの鳥、カラスに食べられたりしてないかな?と気になり、そちらの方向を見る。
う~ん…よく見えないな…(バリッ
足元から変な乾いた音がした。
軽く目をやると、セミ。
はい。踏みました。
くぅ・・・・
まったくなんて日だ…。
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久しぶりにハイボールを飲みまくった。その割にはあまり酔わなくて、素面な雰囲気。
歯磨きして寝ようと、口元を拭いたティッシュをゴミ箱に入れようとした。
ゴミ箱の蓋を開けるレバーを踏む。
カサッ
!?!?!?
何かが落ちた。一瞬でそちらに視線がいく。
そこにはかわいらしい小さなゲジゲジが♡
…おいおい……なんなんですか…
ゲジゲジはすぐそばの黒い電源コードと一緒になってジッとしている。
おいお前、黒いけどコードと一体化しようとしても無駄だぞ。大体なんなんさっきの落ちてきたときの音。マジでカサッっていったぞおい。あんなん公害レベルの音だぞ。精神的にやられる音だからな、わかってんのか。そもそもまだそんな深夜遅くって時間がじゃねえしよぉ喧嘩売ってんのかぁ!?あぁん!?
などと思いつつ、その気持ちの悪い物体を睨みつけてやった。
本当にひどい一日だった。
というわけで、本当は風花雪月に関していろいろ書いてたんですけど、どうしても投稿予定日に間に合わなそうだったので急遽とある日の出来事を書くことにしました。これ、本当に1日の出来事なんですよ。ひどい一日でしょう?死骸と虫の一日ですよ。なんてこったい。
以前ツイッターで、「夏は生命にあふれているけど、同時に死も身近に感じられる」というようなツイートを見かけました。確かに夏って光があふれていて、明るくて元気いっぱいなイメージなんですけど、逆に死者をお迎えしたり、そこらへんにセミの死骸が落ちていたり、お墓やお線香だったり、死のイメージも強いんですよね。
あと、個人的にはタイムリープものは夏のイメージです。夏といえばタイムリープ。タイムリープといえば誰かの死です。
というわけで、虫の生命力と死を存分に味わう羽目になった一日でした。もういいです。