チャーシュー。得も言われぬ魅惑の言葉。
ラーメンに乗っているとうれしい具。おいしいチャーシューだとラーメンのグレードも上がる。チャーシュー丼は危険な夜食というイメージ。大体ドラマ『カルテット』のせい。
とろとろしっとりおいしいチャーシューを食べたい。
ならば作るまでだ。
そもそもチャーシューって焼き豚なの?煮豚なの?
チャーシューを作るということは、チャーシューを知るということ。まずはチャーシューとは何者なのか、徹底リサーチだ。
よくチャーシューは「焼き豚」「煮豚」と書かれるが、焼くと煮るでは全然違う!
そんなどっちつかずな態度ではおいしいチャーシューを作ることなど不可!!
まずはそこから。
で、私が調べた限りでは。
もともと叉焼(チャーシュー)というのは豚肉を焼いた料理らしい。つまり「焼き豚」である。それが日本で魔改造され、煮ることで味をしみ込ませるレシピになり「煮豚」となったようだ。
ふむ。
結局、日本的レシピでは、焼き豚でも煮豚でも最初に焼いて焼き目をつけ、調味液で煮るという手順を踏んだものが多いようだ。調味液に付け込んで焼くレシピなら間違いなく焼き豚だろうが、煮込む過程に重きを置くなら煮豚というのがしっくりきそう。
私は豚肉を煮込みたい。煮豚を作ろう。
やわらかい煮豚を作るには
せっかく煮豚を作るならやわらかくてとろけるような煮豚にしたい。
おそらくポイントは2つ。
1つ目は煮る温度と時間。
2つ目は調味料。
まずは温度と時間に関して。
肉の料理に関する温度の話はよく聞く。
肉をやわらかく仕立てる方法として最近注目されているのが低温調理だ。高すぎない温度でじっくり火を入れることで肉の水分を飛ばしすぎず パサパサになるのを防ぐ方法。
それから、煮るという調理法であればひたすら煮ることで肉のあんな所やこんなところをトロかせてやわらかくするという方法がある。これはわりと従来の方法だと思う。
低温調理は温度の調整がめんどくさそうだし、できればスロークッカーにお任せして長時間煮ることでやわらかくする手法を取りたい。それにこれ、煮豚だし。煮なきゃ嘘だし。
2つ目の調味料だが…。これがなかなか曲者だ。
チャーシューのたれといえば、醤油、砂糖、酒、みりんあたりがぱっと思いつく。しかし、みりんには「肉を固くする作用がある」という話を料理したことのある人なら聞いたことがあるだろう。
考えてみればおかしなことだ。
肉料理にもみりんを使うことなんて、和食ではよくある。鶏の照り焼きに肉じゃがなんかはまさにそうだ。みりんを入れて肉を焼くなり煮込むなりするレシピなんてたくさんあるのではなかろうか。
みりんの何が肉を固くさせるのか、主だった意見としては
「アルコールが蒸発するときに肉の水分も一緒に飛ばしてしまう」
「糖類が入ることで固くなる」
の二つ。
いずれも説明不足に思う。アルコールや糖類が肉を固くする理由なら、酒や砂糖を入れて煮るレシピはすべて肉には不向きになる。
あれこれ調べた中で個人的に採用したくなったのは
「みりんは煮崩れを防ぐ程度には食物を引き締める効果があるが、それが少しずつ変化して伝播し『肉を固くする』になった」
という意見だ。
つまり「そこまで気にすんな」ということである。
とはいえ、「調味液を最初から加えて煮ることで肉がパサついてしまった。いくら煮てもパサパサだ」という経験談も見かけた。
煮豚の味付けにおいて調味液で煮る過程は必要不可欠。どうしたら失敗せずに煮ることができるのか。作って検証するのが早いかもしれない。
とりあえず 煮豚のレシピをいくつか見ることにした。
おいしい煮豚を作るためのレシピ2種
煮豚で検索するとレシピはたくさん出てくる。
いくつか拾ってみてみると、ある程度基本の作り方が見えてきた。
1.豚肉を専用ネットにいれるかタコ糸で縛る これは豚肉の型崩れを防ぐ効果がある
2.フライパンで全面を焼く
3.調味液にネギの青い部分、にんにく、しょうがなどを加え、豚肉をひたすら煮る 煮る時間はレシピによって異なるが、40~50分くらいが多いようだ
かなり大雑把に書いたが、多くのレシピがこのような手順を踏んだものだった。
フライパンで焼き目を付けてから調味液で煮る。
これがレシピ候補その1である。
で、調味液で煮ると肉が固くなる説を踏まえた上で考案されるレシピが次の物だ。
1.豚肉を専用ネットにいれるかタコ糸で縛る
2.フライパンで全面を焼く
3.ネギの青い部分、にんにく、しょうがなどを加えた水に豚肉をいれ、ひたすら煮る
4.煮込み終わったら豚肉を引き上げ、調味液で軽く煮る 大体10分とかそんなくらいだろうか
5.タッパーやジップロックなどに入れて保存 冷めるときに味が染みるのを利用する
大きな違いは煮込みの作業だ。
ネギなどの臭み消しをいれた水でしっかり煮て柔らかくするという工程を踏んでいる。
調味液で肉が固くなるなら先にやわらかくしちゃえばいいじゃない ということだろう。
これがレシピ候補その2。
適当に調べるとこちらのレシピはあまり見かけない。主流にならないのには理由があるはずだ。例えば、煮込みの時間がかかりすぎる、とか、味が染みにくい、とか。そもそも調味液で煮込んでも固くならないよ!とか。
果たしてどちらがよりトロトロのおいしいチャーシューになるのだろうか。
やる気になったら実験してみます。いつになるかわからないけどお楽しみに!!
余談なんですが、肉のコラーゲンが抜けきることでパサつくというような意見もみました。もし煮込むときの水や調味液に最初からゼラチンを入れてしまっていたらどうなるんでしょうか。これも少し気になります。考え方が脳筋過ぎる気もしなくはないですが。