まあタイトルのとおりなんですけど。
しょうもないことを延々と書いているので「くっだらねー」と思ったらすぐに逃げてくださいね。
20代後半。アラサー。このなんとも言えない中途半端な年齢になって、私はようやくクリームソーダの正しい飲み方とその存在意義にたどり着いた。
事の発端はテレビでみた棋士・杉本昌隆さんの言葉だった。
杉本八段といえば今をときめく藤井聡太棋聖の師匠としてよく知られている。
杉本八段が藤井くんとのエピソードで「藤井くんに教えたことといえばクリームソーダの飲み方くらい」といった内容のメッセージを出したのだそう。(実際には「藤井くんに教えられた数少ないことの一つ」としてクリームソーダの飲み方の指導を挙げた)
藤井くんが杉本八段に「師匠になってほしい」とお願いした席でのことらしい。
藤井くんはクリームソーダの飲むとき、アイスとメロンソーダを最初からすべて混ぜようとした。それを見た杉本八段が「いきなりアイスを沈めると溢れちゃうから、先にアイスを食べるかソーダを飲むかしないと駄目だ」とクリームソーダの飲み方を指導したのだそうだ。
(そうかぁ。クリームソーダには飲み方があるのか。)
上の内容を情報番組垂れ流しでなんとなく聞いていた私には、その程度のうっすい感想しか出てこなかった。
それから数日して、クリームソーダを飲む機会を得られた。
久しぶりに飲むクリームソーダ。なんの感慨もなく飲み始めたが、飲んでいるうちにクリームソーダという飲み物の本質に気づいてしまった。
クリームソーダといえば、緑色のメロンソーダの上にアイスクリーム、もしくはソフトクリームがのった飲み物だ。つまり、メロンソーダとアイスを同時に楽しむことのできる飲み物である。
『クリームソーダ = アイス+メロンソーダ』 程度の駄菓子的飲み物。私の認識としてはこの程度であった。
だからこそ、私はクリームソーダを飲むとき、まず溶けやすいアイス部分を少し食べ、その後メロンソーダを飲み、アイスとソーダの混ざりあった境界部分を味わうという、アイス、ソーダ、アイス+ソーダの混ざった部分の3種類の味わいを楽しんでいたのだ。
だが、このアイス+ソーダ部分、決して意図的に作り出していたわけではない。
アイスが溶けてくると自然に混ざり合うから、何もせずとも生まれるこの部分を、何も考えずに味わっていたに過ぎない。
先日も、私は何も考えずにアイスとメロンソーダと混じり合う境界部分を食べていた。だがその時、私は藤井くんの行動を思い出したのだ。
藤井くんは「飲み始めからアイスをソーダに沈めようとした」。
つまり、アイス+ソーダ部分には意味がある。
クリームソーダは単に「アイスとメロンソーダを同時に楽しめる飲み物」ではない……
…ついに、私は 真理に辿り着いた。
クリームソーダとは。
メロンソーダにアイスを溶かし込んだ物を楽しむ飲み物……!
そう、答えは最初からそこにあったのだ…。
メロンソーダにクリームを溶かし込んだ時、クリームソーダは真の姿となるのだ…!
クリームソーダは、メロンソーダにアイスを溶かしたクリーム入りメロンソーダを目指して飲むもの。
フロート系ドリンク。それは飲み物にアイスを溶かして飲むという欲望の塊……。
そうか。
そうだったのか。
アラサー。
クリームソーダを知る。夏。
そして思う。
コーヒーフロート飲んでみたい。
いやこんなん絶対おいしいでしょコーヒーフロート。なんでみんな教えてくれなかったの?どうしてメロンソーダの話しかしないの?みんなアイスコーヒーにミルクとガムシロ入れてる場合じゃなくない?
今度フロート系の飲み物置いてるお店にいったら、コーヒーフロートを飲んでみようと思う。
・・・
そんなわけで、クリームソーダが何者なのか、この年にしてようやく理解できたわけです。
実は私、がぶ飲みメロンクリームソーダという飲み物の意味も分かってなかったんですよ。なぜならばクリームソーダはアイスとメロンソーダを一緒にいただけるものだと思っていたから。ペットボトル飲料になってしまったらそれはただのクリーム風味のついたメロンソーダであり、メロンソーダとアイスを一緒に食べるというクリームソーダのアイデンティティを奪ってしまった存在だと思っていたから。子供だましの○○風味のお菓子程度に思ってたんですよ。
でも実際は違いました。がぶ飲みメロンクリームソーダは、クリームソーダの最も本質の部分だけをくりぬいて手軽に楽しめるようにしたドリンクだったのです。
これはもう土下座もんです。
がぶ飲みメロンクリームソーダという存在を初めて知った小学生のころからずーーーっと、がぶ飲みメロンクリームソーダのことを勘違いしていたのですから…。
ここまでクリームソーダに対して盛大に思い違いをしていたのはおそらく、あまりクリームソーダを飲みなれていないからなのだと思います。
初めてクリームソーダを自分の意志で頼んだのは、忘れもしない、中学生の夏休み。温泉宿のカフェスペースでした。
当時はサンドウィッチマンが好きすぎて、彼らのブログの内容をまとめた本を読んでいました。その中で富澤たけしさんが「クリームソーダが好き」というようなことを書いていらしたんです。私にとって、飲んだこともないクリームソーダはいわば未知の飲み物だったので、クリームソーダというテーマで文章を書き上げてしまう富澤たけしさんのクリームソーダ愛が一体どこから来るものなのか、クリームソーダの何が富澤さんをそこまで熱くさせるのか、私には理解できていませんでした。
ただ、「そこまでトミーを夢中にさせる飲み物なのだから、きっとおいしいに違いない」と、それだけは確信していました。だからこそ、中学生という思春期真っ只中のアブナイお年頃でありながら、クリームソーダを初体験したのです。
クリームソーダ初体験の年齢が絶妙に高かったせいで、その後もクリームソーダを頼むことは滅多にありませんでした。
たぶん、人生においてクリームソーダを飲んだ回数は片方の手で数え切れる程度でしょう。
私には杉本八段のように、クリームソーダの正しい飲み方をおしえてくれる師匠はいなかった。クリームソーダについて語り合える仲間もいなかった。家族とクリームソーダを飲んだ記憶もない。
そうせいなのか、クリームソーダを理解するのにずいぶんと時間をかけてしまった。
でも、もう大丈夫。これから先、いつどのようなタイミングでクリームソーダと再会しようが、私はもう正しくクリームソーダを楽しむことができます。
クリームソーダの存在意義を正しく理解できたのは藤井棋聖と杉本八段のおかげです。
ありがとう、藤井くん。ありがとう、杉本八段。
あとは余談。
クリームソーダはようやく解決したんですけど、かつてそれと同じくらい私を悩ませてくれた飲み物がこの世には存在したんですよ。
マックシェイクっていうんですけど。
私が小学生の頃、近所にマクドナルドが存在していなくて、いとこのおうちに遊びに行ったときに初めてマクドナルドでシェイクを買ってもらったんです。
初めてのシェイク、冷たくて甘くてとてもおいしかったんですけど、気が付いたらあんまりおいしくなくなってたんですよね。
当時はその意味が全く分からなくて、さっきまであんなにおいしかったのにどうしちゃったんだろう、と困惑しまくったのを覚えています。
それが人生で最も記憶に残っているマックシェイク体験。
今思えば、あれはいつの間にかシェイクの氷が全て溶けてしまって、ただの甘い液体を飲む羽目になっただけの話なのですけれど。初めてのシェイクだったので、溶けるとおいしくなくなるなんて知らなかったんですよね。だから、ゆっくりちんたら飲んでしまい、結局飲みきれなかった。
シェイクに氷の粒が混じっていることに気付いたきっかけはもう忘れました。
でも今ならきっと、マックシェイクは最後までおいしく飲める。はず。
にしても、今回図らずも「クリームソーダをテーマにブログを書く」という実績を解除することができました。富澤たけしさんみたいにクリームソーダだけで文章を書くというのができてちょっぴりうれしいです。長年の謎が解けたので、これでもうクリームソーダで何か書くということはなくなりそうです。私のクリームソーダに関するエピソードは、富澤たけしで始まり、富澤たけしで終わりそうですね。