祖母の家を片付けに行った。
といっても死んだわけではない。祖母は昨年末から体調を崩し、それからずっと入院生活だったのだが、先日ようやく介護施設に入居した。祖母はまともに独り暮らしのできるような人ではなかったのに頑なに施設への入居を拒んできた結果、インフルエンザ+誤嚥性肺炎のダブルパンチを食らい、そこそこ厄介なことになってからの入院となったのだ。そこから4か月ほどの入院生活となり、やっと施設が決まって退院、施設に入居となった。世話をする側の人間としては、ようやく少し落ち着く…といったところだ。
ここまでの文章でお察しの方もいるだろうが、祖母のことはあまり好きではない。どちらかというと母の味方をしてきたから、父方の祖母を嫌っているというのはもちろんあるのだが、人間的にもあまりよろしくないと思っている。
入院生活で認知症もそこそこ進み、さすがに一人暮らしを許せば今度こそ命に係わるだろうということで、満を持して介護施設へ入居する運びとなったのだ。
今まで祖母の家で使っていた介護関係の器具の取り外しもあり、祖母の家も少し片付けたほうがいいだろうということで私も不服ながら手伝ってきた。
人の家を物色するのはなかなか面白い。我ながら悪趣味だが
「これはちょっといいな」と思うものや「なんだ、不気味だな」と感じたもの、「へんなもの」など、色んなものがあったので紹介する。
まずはこれ。
メルカリで売れそうな懐中時計。レトロ可愛いといえばそれっぽいかもしれない。
文字盤。これといって特徴はないが、ちょっと可愛らしい気もする。懐かしい雰囲気で大正ロマン的。
散らかったテーブルの上に無造作に置かれていた懐中時計。当然のように針は動いていなかった。小さな時計だったけど、女性らしい華奢な作りといえばそれらしい気がする。祖母がこれを身に着けていた記憶は全くない。
続いてごちゃごちゃした鏡台の引き出しから見つけた小さな香水瓶。
小さなサンプルの香水瓶。なかなか素敵な小瓶だった。蓋は固くて開かなかった。両親が新婚旅行のお土産に買ったものらしいので、30年以上は放置されていたようだ。クラシカルな雰囲気がなかなか良い。
うら。内容量は4mLだったようなので、おそらく8倍くらいに濃縮されている。
香水瓶というのはやたらかわいらしい見た目の物があるが、この小瓶もまたそそられるようなデザインだ。蓋が開かない。中身が濃縮しているとなると、もう飾るくらいしか用途はない気がする。メルカリでも売れないと思う
キッチンにもちょっと惹かれるものがあった。
醤油差し…?水色の小瓶。中にブランデーとか入れてバニラアイスにかけるなどしたい(しないけど)。これに醤油入れるのはもったいないなー。写真を撮るためだけに軽く洗った。
醤油さしと思われる小瓶の底はヒビ割れたような加工がされていた。色がきれいだったので醤油を入れるのはもったいないように思える。かといってほかに何を入れたらいいのかあまり思いつかないし、やはり飾りにしかならない気がする。メルカリでうれるかも
綺麗なものはここまで。
ここから先はヘンテコなもの1つとちょっと不気味なもの1つを紹介。
寝室を守護していたベジータ。なぜだ。
年寄りが住んでいる家の電気の紐を守護していたベジータ。何かのおまけだったのだろうが、唐突なコイツに拍子抜けするような気持だった。
そしてちょっと気持ち悪いと思ったもの。
なぜか天井からぶら下がっていた貝のようなもの。小心者の私はちょっとゾクッとした。なんかの魔除けか、土着のまじないか。
意味もなくあたりを見回す癖があるのだが、天井に妙なものがぶら下がっているのに気付いた。よく見ると貝殻のようだったが、こんな手の届かないところになぜぶら下がっているのか不明だ。怖い。
なおこの寝室に敷いてあった布団をひっくり返したところ、カメムシの死骸が6、7個ほど転がっており、もう何もかも見なかったことにしたいと思った。「カメムシ死の館」である。こわ。
まあとにかくものがたくさんある家だ。
まだまだいいものとやばそうなものがたくさんあるのだろう。次にそれをほっくりかえすのはいつになることか。興味はないようなあるような…。
やさがしのような真似をしてちょっとだけ申し訳ないと思わなくもなかったので、ほんのお詫びにおじいちゃんの仏壇周りを少しだけきれいにした。祖父のことも手放しにすいてあげることは絶対にできない。でも生前に一度だけ、なんの脈絡もなくお土産を買ってきてくれたことがあって、別にありがたくもないキーホルダーだったけどほんの少しうれしいような気もしたことがあった。それだけ。
死んだらいい人だなんて絶対に思わないから、死んだ後でも許せないことは許さない。それでも多少は気持ちを寄せてやってもいい。私の祖父や祖母に対する思いはそのくらいのものだ。
関係ないけど、母方の祖母は大好きだ。私は口下手で恥ずかしくてうまく話せないので代わりに手紙をよく出している。父方の祖父母と母方の祖父母では比較が馬鹿らしくなるほど差があるのは祖父母ら自身に原因があるので、決して私が鬼で、一方を贔屓しているわけでない。