『僕らは奇跡でできている』というドラマをご存じだろうか。
2018年秋、フジテレビ系列で放送されていたドラマだ。
普段ドラマは見ないのだが、高橋一生が主演を務めるということで一応録画して見ていた。
最近になってAmazon primeビデオで無料で見られるようになったので、改めて見ているのだが、やはり良いドラマだったので紹介しようと思う。
1話のサムネイル。ちょうどいい画像になってるのが他になかったです…これでは高橋一生が出ていることしかわからないじゃないか…!
『僕らは奇跡でできている』とは、大学で動物行動学の講師をしている相河一輝(高橋一生)と、その周囲を取り巻く人たちとの交流と変化を描く物語だ。
相河は普通の人が当たり前にやっていることが苦手だ。例えば、「時間を守る」こと。作中で相河は何度も歯医者へ行く時間を忘れてすっぽかしてしまう。常にマイペースで、興味・関心のあることにはひたすら夢中になり、脈絡のない(と感じられる)発言は周囲の人たちを困惑させる。
周りの人とズレているような行動の多い相河だが、最初は相河との関わり方に困惑してばかりだった人たちも、次第に相河のことを受け入れていく。
この「自分とは違う別の人」そして「自分自身」を受け入れるということの難しさ、大切さというのがこのドラマで一番強く感じられることだ。
第一話で物語にかかわる人物はほとんど全員出てくる。
相河をはじめとして、家政婦の山田さん、歯医者の水本先生、出世を目論む樫木准教授(要潤)、歯医者で出会った男の子・虹一くん、「普通のこと」ができない虹一くんを心配する母親、そして生徒たち。
みんながみんな、違う立場で違う感性を持って生きている。そして、その違いはあるときには誰かを苛立たせたり、悲しい思いをさせたりもする。
一話を見てもらえるとわかるのだが、おそらく人によって感情移入できる人が違うと思う。
例えば、歯医者の水本先生はバリバリ仕事のできる女性だ。水本先生の恋人・鳥飼はそんな彼女に対して劣等感を持っているが、水本先生はそんな鳥飼の気持ちを理解できない。一話で水本先生は鳥飼を高級そうなレストランに連れていくのだが、そのせいで鳥飼は水本先生につらく当たってしまう。
水本先生はただ頑張っているだけなのに、どうして鳥飼は水本先生に冷たい態度をとるのか、おそらく鳥飼に対して怒りを覚える視聴者はいるだろう。
だがその一方で鳥飼に感情移入する人もいるはずだ。水本先生は確かに立派だが、鳥飼の立場を考えていないのではないか。金銭的に鳥飼が躊躇してしまうような高級レストランに誘うというのは嫌味か何かか。と、水本先生の方に怒りを感じる視聴者もいるはずだ。
このドラマは一概に誰かの視点で物語を書いているわけじゃなく、人それぞれ違う人に感情移入できるような作りになっていると私は感じた。そしてそれが面白いと思った。
ドラマが進むにあたって、最初は理解できなかった人物のことが理解できるようになったり、苦手な人物を好きになれたりする。これは本当にすごいことだと思う。
『僕らは奇跡でできている』はとっても優しいドラマだ。また、相河が動物行動学の講師ということで生き物に関する話もたくさん出てくる。生き物に興味があってもなくても楽しめるし、見ているうちに引き込まれていくはずだ。
現在Amazon primeビデオで無料配信中なので、これを機にまずは1話だけでもみてくださる方が増えるといいなと思っている。
他人を理解する難しさを感じるとともに、誰かを受け入れることの嬉しさも感じられるはずだ。そして「自分らしく生きる」というのはとっても難しいことだが、まずは自分自身を受け入れることから始めようと思えるドラマでもある。
作中では難しいことは何にも言わないが、ただ、ふと心に何かを感じさせてくれる。『僕らは奇跡でできている』はお気に入りのドラマだ。