てれひこ屋

日記&雑記帳。日常で感じたこと、好きなゲームのこと、いいと思った音楽のこと、自分のことを入れて煮詰めるための坩堝です。

GW中に『数学の闇に飲まれた男子大学生の漫画』を見つけたので紹介したい

 

 

2022/2/12 加筆修正しました。あろうことか漫画のタイトルを間違えるという恥ずかしいミスをしていました…作者様、本記事を読んでくださった方、ごめんなさい!

 

 

2020年のGWは食品を買いに出たくらいで、あとは引きこもりっぱなしでした。

そんな過ごし方をした方は多いのではないかと思います。

私は引きこもり適性がある人間だと思っているのですが、さすがに めったにない連休にどこへもいけないのは少し残念でしたね。温泉に行ったり飲み行ったりしたかったなー

 

そんな引きこもるしか選択肢のないGW中、数学のジャンル分けについてすこーしだけ調べたのをきっかけに、ふと「数学科に所属する大学生はいったいどういうことを学んでいるのだろう」という疑問にぶつかりました。

 

大学というのは教育機関であり研究機関でもありますから、基本的に学生は学問を学んだ集大成として『研究』という体験をするものだと思っていました。まぁ、大抵はそんな大げさなものではなくて、教授が与えた課題を何とかやり遂げるくらいの話に落ち着くのでしょうけど

 

となると、学生が数学を研究するというのは難しすぎないか?と思ったんですよね。

普段 私達がよく触れる数学というのは 道具としての数学 であり、必要な答えを得るために数学を使っているだけです。なので、数学自体を研究して新しいものを生み出す、検証する、ということはあまりにも高度なことのように思いました。

だからといって大学数学が高校まで数学のような、問題を解くことが目的になっているはずはないので、大学の講義でどんなことを学んでいるのかちょっと気になったのです。

 

 

 

そんな疑問を持ったあなた(?)におすすめなのがコチラ!

 

デデン!

 

 

 

 

漫画 『数字であそぼ。 である。

作者は 絹田村子 さん。

 

 

『数字であそぼ。』というどこぞの教育番組のような可愛らしいくも勉強になりそうなタイトルですが、内容としては

 

大学の講義初日、数学の講義に心をへし折られ挫折した主人公が、数学言語を使いこなし常に頭のどこかで数学をしている奇人変人 友人らと共に必死に数学に喰らいつくデッド オア アライブな大学生活を描いた青春物語 です。

 

 

これがなかなか面白いんですよね~。

大学で勉強する数学というものがどんなものなのか垣間見ることができます

数学に関する知識がなくても大丈夫です。読めます。漫画に出てくる数学の内容は理解できなくても大丈夫です。むしろ「数学好きな人とか怖い」とか「理系怖い」って思っている人のほうが面白みがわかる…かもしれません。高校数学をなんとなく覚えているとより面白いかも

たまに論理パズルみたいなのがでてくるので、そういうのが好きな方は考える楽しみもあります。

 

 

 

物語のはじまり

 

主人公・横辺健己(よこべたてき)は一度見たものは決して忘れることのない驚異的な記憶力を持つ。その記憶力を活かして京都の有名大学へ進学、物理学の華々しい栄光への道へ進むことを志す。だが、講義初日 2限目の「微分積分学」、悲劇(?)は起こった…

 

「それでは まず 数字をつくりましょう

 

!?

 

黒板に次々と書かれる記号、読める言語で書いてあるはずなのに何が書いてあるのかわからない謎の定義。

 

…横辺には何一つ、理解できなかった。先生が何を言っているのか、自分が書いているものは何なのか。横辺は何も理解できなかった。

 

教室に残り うなだれる横辺。女子が一人 席に残っているのに気づく。

(なんだ、わかっていない人は自分以外にもいるじゃないか。)

安心する横辺に、女子は一人伸びをしながら言う。

 

「あーーすっきりした!大学ってこんなにちゃんとやってくれるんだ!」

 

驚いた横辺は女子に話しかける。今の講義、理解できたのか、と。

 

女子との会話の中で横辺は大変なことに気付く。今まで記憶力だけを頼りに暗記で数学をやってきた横辺は、数学というものを考えてこなかった。

数学という学問をまったく理解していなかったのだ!!

 横辺は人生で初めて挫折を経験する…。

 

〜2年後〜

 

横辺建己、無事2留。

 

あの数学の講義以来、下宿に引きこもりっぱなしだった横辺の元に一通の手紙が届く。大学からであった。ついに面談を提案する手紙まで来てしまったと落ち込むも、横辺は一念発起して卒業を目指すことにする。

愉快でおかしな仲間たちと共に…。

 

 

 

…なおここまでの内容は試し読みで読めるので、ぜひ。ちゃんと読んだほうが面白いにきまってますから。

comics.shogakukan.co.jp

 

 

 

というわけで、横辺くんの挫折から始まるこの物語

トンデモ記憶力というチート能力がこれっぽっちも役に立たず、むしろ弱キャラという立ち位置の横辺が主人公なので感情移入はしやすいです。

数学が理解できなくてもちゃんと読めて面白みを感じられるというのがこの漫画のいいところですね。

横辺を取り巻く人々はみんな数学が好きで、よく理解しているため、横辺と友人らには それはそれは深ーい溝があります。それがまた辛い。 数学大好きな割にはみんないろんな理由で留年してるんですけどね。そこがまたおいしいです(^q^)

横辺が講義の内容を理解できた時は読んでるこっちもうれしくなります。

 

 

 

登場人物

 

横辺建己 (よこべ たてき)

主人公。圧倒的記憶力に頼り切っていたせいで数学的な思考が全く身についておらず、無事挫折、引きこもり生活の末に2留した。

卒業に向けて頑張ろうとしたところで、同じく2留中の北方と運命の出会いを果たす。2巻には「北方の象さんをみせてくれよー!」という迷台詞があるほどの中の良さである

爽やかな青年だったが、数学に躓いてからは変人になってしまった。顔芸に定評がある 表情豊か。

 

 

北方創介 (きたかた そうすけ)

メガネ。スロカス。数学を理解できるあっち側の人間

数学がまるで理解できない横辺を何かと気にかけてくれる。気にかけてくれるだけで助けてくれるわけではない。相談には乗ってくれる。

結構いいやつ。北方と出会ったことで横辺はだいぶ救われている。

 

 

夏目まふゆ (なつめまふゆ)

講義を理解できず落ち込む横辺を崖から突き落とした張本人横辺が勝手に挫折しただけだけど

数学を理解できるあっち側の人間。横辺の仲間たちの中では一番数学ができる。たぶん天才。いろいろとブッ飛んでいる。そこがいい

 

 

猫田賢 (ねこたけん)

糸目でいかにもヤバそうな人。たまに冷たい目で横辺を突き放す怖い人。数学を理解できるあっち側の人間

過去問バイヤー。横辺はよくお金を巻上げられている。

最近『ツイステッドワンダーランド』というディズニーヴィランズをモチーフにしたスマホアプリゲーやってるんですが、そこに出てくるキャラクターに過去問を渡してあんなことやこんなことをやっているやつが出てくるので、やってることの既視感が半端なかった

 

平坂世見子(ひらさかよみこ)

2巻から登場。まふゆの友達で真っ当な2回生。横辺を取り巻く仲間たちの中では初めての普通の人っぽい人。ただし数学力はあるのでやっぱりあっち側の人間

 

 

早乙女先生

数学の教授。ヒロイン。横辺を数学科に勧誘した。黒幕。諸悪の根源。

いつも構内を彷徨い歩き、食べれば数学科に引きずり込まれてしまう よもつへぐいを配り歩いている危険人物 可愛いおじさん。横辺へのアドバイスは結構キチンとしている。

動物のお医者さん』でいう漆原教授ポジだと思う。

 

 

 

ご覧いただいた通り、横辺くん以外の人はみんな『あっち側の人間』、つまり数学を理解できる人間です。主要人物の中で横辺だけが毎回毎回 「数学わかんないよー(´;ω;`)」 と苦しんでいます。

そんな横辺くんですが、わからないから、なんとか理解しなきゃ、と努力する姿は本当に偉いんですよね。心から応援したくなります。

また、横辺が理解に至ったときは読者にもわかりやすく伝わるような解説が入るので、その点もこの作品の面白さにつながっています。もちろんわかりやすく説明しているだけで、読んだ人が全員わかるような簡単さではないと思いますが、じっくり読めばほとんどの人がその雰囲気を捉えられるのではないでしょうか

理解に至らなくても読み進められるので、なんとなくで読んでしまっても問題ないと思います。そもそも読ませようと思っていない長文解説があったりなかったりしますし、なんかこの人たちすげー くらいで行ける

 

 

 

というわけで、『数字であそぼ。』の紹介でした。

多くの人が経験することのない数学科の大学生というシチュエーションを面白おかしく追体験できてしまう楽しさがある作品なので、気になる方はぜひ読んでみてくださいね。

 

 

この漫画を読んでみて感じたことをちょっとだけ。

学問というのは、ほとんどが下から階段を昇っていって、上に行けば行くほど高度で複雑になっていくものだと、なんとなくそんなイメージでいるのですが、

数学においては、地上に見えているシンプルな部分から地下を覗き込むと、中は深くて暗くて奥底が見えなくて、理解すらしがたい空間が広がっているような、そんなイメージが思い浮かびました。数学は上に行けば行くほどシンプルで抽象的になってしまってわからなくて、そこに至るまでの過程もまた難しくて。とんでもねえ学問だぜ…。宇宙の話並にこわいですね。

 

 

 

 

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